皆さん良くご存知の Ella Fitzgerald が1956年、39歳のとき、誕生間もない Norman Granz のVerve Records に吹き込んだ Cole Porter の名曲の数々、”Ella Fitzgerald sings The Cole Porter Song Book”、Ella の Song Book シリーズの第一弾となったアルバムを紹介します。Song Book は最終的には8名の作曲家の歌の数々を集めたシリーズとなり、その何れもが成功を収めたとの事です。
Ella の出自及び生い立ちは偉大な歌手と称せられるBillie Holiday と似通ったところがありますが、Billie の歌には何となく暗さが感じられるのに対し、Ella の歌
には常に明るさが感じられ、彼女の声、歌唱力、人柄とあいまって万人に暖かく愛される一因となっています。
このアルバムには32曲が収められ、中には余り耳慣れない曲や、ああこれも Cole Porter の曲だったのだと気付かされる曲も何曲かあります、またCole Porter の陰と陽が判る構成となっています。
Ella はどの曲もいとも簡単に朗々と歌い上げているように見えますが、Bonus Track では NG 集もあり、上手く歌えないことにいらいらしている様も聴け、微笑ましく感ぜられます。
Granz はWaldorf-Astoria (ウオドーフ・アストリア:ニューヨークにある超高級ホテル)に Porter を訪ね、出来上がったアルバムを聴かせ、聴き終わった Porter は ” My, what marvelous diction that girl has"「ああ、なんと素晴らしい歌唱力を彼女は持っているんだ」と感嘆したという事です。
何を今更 Ella か、と思われるかも知れませんが、作曲者の意図を十分に咀嚼した、他の女性歌手では聴く事のできない、ストレートに歌う彼女の暖かな声、表現力の豊かさ、ノリの良さに時の経つのを忘れ、引き込まれて行くのは請け合いです。
LP、CD 双方妥当な価格で入手可能ですが、以下YouTube でもアルバム全曲を聴く事が出来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=bdg8dI5nWFI
https://www.youtube.com/watch?v=yrhhoHNQ8d4
Bass M.K.