7月下旬から妻と二人で4週間に亘って北米のパシフィック・ノースウェスト地域(アメリカのワシントン州及びカナダのバンクーバー・ウィスラー)を旅行しましたが、その折にマウント・レーニエ国立公園を訪れトレッキングを楽しみました。シアトル(ワシントン州)から車で約2時間半の距離にあるマウント・レーニエは、日本でもチルドコーヒーのブランドにもなっていますが、夏は登山、冬はスキーが楽しめる、標高4,392米の独立峰かつ活火山峰であり、アメリカ西海岸の最高峰です。
古くから知られる名峰で、先住民にタホマTahoma(神の宿る所)と呼ばれ恐れられており、またその優雅な姿から日系移民の間では「タコマ富士」と呼ばれ親しまれてきました。
(南側から見たマウント・レーニエ)
私達は前夜麓に近いアシュフォードという町に泊まり、翌朝南側の中腹で標高1,650米にある「パラダイス」と呼ばれる地点迄車で行き、そこからトレイル(Trail)を登り始めました。当日は快晴の天気で多くの登山客で賑わっており、約2時間登った地点で昼食を取りました。なおトレイルとは山頂を眺めながら、又高山植物を愛でながら山の中腹を散策するトレッキング用の道であり、良く整備されていて道標も正確であり、決して危険ではなく道に迷うことはありません。ところで過去にロッキー山脈(アメリカ)、グランド・ティトン(アメリカ)、カナディアン・ロッキー(カナダ)、ウィスラー/ブラックコウム(カナダ)、マウント・クック(ニュージーランド)、アルプス(スイス)等、数々の外国の山をトレッキングしてきた経験からすると、海外では3,000米級の山に登るとは一般的に中腹のトレッキングを指し、決して山頂を征服することではありません。高い岩山を登頂するには多くの危険が伴うものであり、体力のある若者か専門のガイドを雇って登る山のベテランのいずれか、言わば玄人に限られ、家族連れや中高年者を含む一般登山者(素人)が行うのは危険を伴わないトレッキングです。従って外国では、日本のように連休の度毎に必ず多数の中高年者の遭難事故が発生するような事態は決して起きません。
さて「パラダイス」迄戻り、途中「逆さマウント・レーニエ」が湖面に映し出される「リフレクション・レイク」に立ち寄った後、次に東側の標高1,950米の地点にある「サンライズ」に向かいました。
(湖面に映る逆さタコマ富士)
「パラダイス」とは反対側の地点から見るマウント・レーニエも又大変素晴らしかったです。なお午後3時を回っていたので、そこではトレッキングは行わず、次の目的地に向かいました。
(東側から見たマウント・レーニエ)
今回の旅でマウント・レーニエ国立公園を含めてアメリカの国立公園を三か所回りましたが、いずれも駐車場、ビジターセンター、トイレ等の施設は綺麗に整備されており、トレイルも歩きやすく、パーク・レインジャーと呼ばれる親切なスタッフも常駐していて、快適な旅が出来ました。
さてここからは表題に移りますが、トレイル(Trail)と名の付く、アメリカの作曲家兼編曲者であるファーディ・グローフェ(Ferde Grofé、1892~1972)が作曲した有名な曲があります。それは管弦楽曲の組曲『グランド・キャニオン』(“Grand Canyon Suite”)中、第3曲の「山道を行く」(”On the Trail”)です。彼は1920年から1933年まで、ジャズの王様(the King of Jazz)と呼ばれたポール・ホワイトマンのオーケストラでアレンジの仕事を行いました。特に有名なのが、ジョージ・ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーのオーケストレーションです。更にシンフォニック・ジャズのスタイルのオリジナル作品を作り、その後ジュリアード音楽院に指揮者兼教員として雇われ、管弦楽の編曲を教えました。なおファーディ・グローフェの「山道を行く」(”On the Trail”)は、YouTubeにも入っております(https://www.youtube.com/watch?v=bVKVB0MImOg)。
更に又、以下のジャズ・ミュージシャン達も演奏しております。聞き比べるのも一興かと思います。
・クラーク・テリー、ケニー・バレル、ルー・タバキン、ケニー・ドリュー、レジー
ジョンソン、アルビン・クイーン( http://www.youtube.com/watch?v=hm-m3Jaw99E)
・ドナルド・バード セクステット(http://www.youtube.com/watch?v=kRmzHva0Zyc)
・オスカー・ピーターソン トリオ(http://www.youtube.com/watch?v=adO61BnsjNg)
・ウィントン・ケリー トリオ(http://www.youtube.com/watch?v=p4jt1_75jh4)
テナー Y. M